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デジタルアダプションは広く「デジタルの利活用・定着」と解釈されています。2021年にスタートしたデジタル庁が政策として「誰一人取り残されないデジタル社会の実現」を掲げましたがその言葉の裏には残念ながら、急成長するデジタルツールについていけない人の存在があります。誰一人取り残さない理想を実現するためには「誰にとっても利用しやすい、使いやすいデジタル」とはなんであるのかが明確であれば良いのではないか、と、私たちは考えました。

アメリカやヨーロッパでは日本よりはデジタルアダプションという単語が浸透しているものの、日本においてはほとんど浸透していません。ウェブ検索をしてみてもそのカバー範囲も様々で、UI/UXの問題であったり、チャットツールなどの操作支援ツールであったり、オンボーディング支援分野であったりします。

そのためデジタルアダプション単独での深掘りがなされず、カオスマップや調査レポートにおいてもなかなか単体でピックアップされることがありませんでした。「UI/UX」「カスタマーサクセス」などの従来分野に紛れて点在してしまい、全体を俯瞰しての議論に行き着くことがなかったためです。このままではいつまでたっても全体的なデジタルの活用・定着を底上げすることはできません。

そこで従来の切り口では捉えきれなかった新しい概念として、「デジタルアダプション」という用語をあらためて提示し、その意味やそれがもたらす真のメリット(あるいはそれが存在しないことで顕在化しうる様々なデメリット)を網羅して議論し、何を持って「誰にとっても利用しやすい、使いやすいデジタル」といえるのか、そのためには何が必要で何が足りていないのかを明らかにすべきであると考えます。

この団体の活動を通じて様々な切り口の「デジタルアダプション」ツール、ソフトウェア、プラットフォームの議論が進み、デジタル利活用・定着が全体的に認知され、底上げされてゆくのが私たちの目指す方向性です。そして市場として認知されればそこには自ずとノウハウが蓄積され、人材の流れが生まれてくるはずです。

またこの団体がデジタル庁の掲げる政策に呼応する以上、デジタル庁を含む関連省庁とのアラインメントもあって然るべきであると考えます。また、設立間がない団体として先進事例に触れて学ぶことは意味のあることだと考え、海外などの先進事例を積極的に学ぶ機会も創生できればとの思いがあります。

このような経緯から「一般社団法人デジタルアダプション協会」は、「デジタルアダプション」に関して考え、意見を交換し、デジタルアダプション市場を独立した1つの市場として健全に発展させることを目的として誕生しました。今後は会員を中心に実態を調査し、団体内外での意見交換・知識共有を深め、政府を含めた外部団体との連携や人材育成などを担っていきたいと考えています。

一般社団法人デジタルアダプション協会 代表理事  高山清光

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